Frozen Eggの活動再開

 

Frozen Eggの作品には他の多くのロックミュージシャンと同様に、かつ、その度合いは他と比べてずっと強く、一撃必殺的に状況を好転させようとする欲求が感じられる。
しかし、数年の活動休止から復帰して以降の彼女のステージには、一撃必殺を望みながらそれが叶わないことを受け入れたような感じがある。

2022年のクリスマスのgigiでのライブは実験的な要素のあるステージングだった。
しかし、大きな革新をねらう感じはあまりない。
例えるなら、試行錯誤が必ず成果をもたらす保証はないが何度も繰り返せば何らかの成果をあげることを経験から分かっている研究者、という感じだ。
とにかく、空振りをーーそしてそれに伴う幾らかの落胆をーー知った上で行われるトライという感じがする。

また、歌詞には以前と変わらず詩的な言葉が使われているが、その音楽はもはや、その詩が人に伝わることを期待していない。
かつて、彼女の演奏はパンク・ニューウェーブ的なカッコ良さのツボを押さえたものだった。どうすれば聴く者の気分が高揚するかを分かっている感じだ。
今、その演奏は高揚への関心を失っている。
その音楽は、聴く者の心にすでに準備されている感情に照らしてその詩が理解されることを拒み、その言葉とメロディそのものが持つ手触りからのみ理解されようとしている。